債務整理は身近な存在

債務整理を理解する



最後の手段、自己破産


自己破産は他の債務整理とは異なり借金がゼロになることに大きな特徴があります。最近では借金に悩むくらいなら自己破産してしまえといった言説もあります。夜逃げをするくらいなら自己破産すべきでしょう。しかし、他の債務整理に比べデメリットが大きいです。ブラックリストに載るのは他の債務整理と同様ですが、持ち家や車は失います。やはり、自己破産は最後の手段です。

自己破産は裁判所に申し立てて行うものですが、自分でもできます。しかし、他の債務整理で済むかもしれないので、手続を自分で行うとしても弁護士への相談はすべきです。
自己破産手続は自己の現住所を管轄する地方裁判所に行くことからスタートします。あらかじめ電話で自分のケースの管轄裁判所なのか確認すべきです。そして裁判所の破産係で説明を受け、破産申立書他必要書類リストを受け取ります。自己破産手続とは書類集めと書類作成であると言えます。

必要書類をリストに従い集めていきます。戸籍謄本、住民票、給与証明書、源泉徴収票、同居人の給与証明書、源泉徴収票、住居の賃貸借契約書、車検証、通帳のコピー等々です。破産申立書をキチンと記入し、債権者一覧表、財産目録、過払い金計算書などを作成する必要もあります。それらとともに予納金や収入印紙、切手を納めます。そして、裁判所で破産の面接を経て、破産開始決定の通知を受け取ります。まだ、借金はゼロになりません。つぎに免責の面接を経て免責許可決定書を受け取ります。これで、初めて借金がゼロになります。以上で、自己破産手続は終了です。


特定調停・民事再生


任意整理に近いやり方で特定調停というものがあります。自分で債権者を選んで行うやり方です。特定調停は、債務者自身が行うことを前提とした仕組みとなっており裁判所に債務者が申立てることにより開始します。料金も安いです。弁護士に代理してもらうこともできますが、その場合料金が安くすむというメリットがなくなります。自分で行う分、書類の収集、作成に、時間と労力を要求されます。

特定調停を申し立てる場合には、ご自身の経済状況が特定調停にもっとも適していることを充分に確認することが重要です。ただ、安くできるからと言って特定調停を利用すると痛い目を見ることになります。調停が成立しないことも多いですし、過払い金請求は特定調停の中ではできません。別途相手方に請求する必要があるので過払い金がある場合には二度手間になります。自分で特定調停を行うにせよ、弁護士の無料相談を利用するなどして、特定調停を行うべきかどうかをしっかり確認してください。

次に民事再生です。裁判所に民事再生を行うことを申し立てます。民事再生には小規模個人再生と給与所得者等再生があります。小規模個人再生が利用できる者のうち会社勤めをしている等の定期収入を得る見込がある者が給与所得者等再生というより簡略化された手続を利用できます。どちらを申し立てるかは債務者本人が申立て時に申述しなければなりません。民事再生は住宅ローンがある債務者にとても有利です。住宅ローンの減額はありませんが、他の借金・債務の元金が減るのです。住宅を手放すことなく借金を返していくことができます。

民事再生も自分でできます。しかし、特定調停と異なり、自分でやることを前提に制度が作られていないため、かなりの困難を伴うことを覚悟すべきです。現に債務者自身で民事再生を行う方は非常に少ないです。裁判所側も債務者が弁護士をつけない場合、再生委員を選ぶことがよくあります。手続を正確に円滑に進めていくためです。その費用が約20万円かかり、債務者の負担となります。再生委員は弁護士であることがほとんどですので最初から弁護士に代理してもらったほうがいいといえます。


任意整理のやり方


任意整理は、民事再生や自己破産と異なり、すべての債権者を対象とするものではありません。ですので、自分で債権者を選んで交渉することができます。裁判所の介入はありませんが、他の債務整理手続と同様に信用情報機関、いわゆるブラックリストに一定期間登録されます。

任意整理は弁護士・司法書士による債権者に対する受任通知から始まります。受任通知が行われると貸金業者は、債務者・保証人に対して借金の請求ができなくなります。任意整理は自分でもできますが、その場合にはこの受任通知を行うことはできません。債務者が借金の見直しの交渉に行っても、債権者に借金返せと言われてしまうのです。任意整理は裁判所が介入しない手続ですが、弁護士に相談したほうがベターであると言えます。また、その後の手続も素人が行うには難しいものといえます。

任意整理における弁護士の中心業務は引き直し計算を行うことです。よく知られているように金融業者は、罰則のない利息制限法の利率を超えて罰則のある出資法との間で業務を行ってきました。いわゆるグレーゾーン金利と呼ばれるものです。グレーゾーン金利で得られた利益は無効であり、借金の元本に充当されなくてはならないこととなりました。CMでよく言われる過払い金請求とはグレーゾーン金利により払い過ぎた金銭を取り戻すということなのです。

この引き直し計算においては、取引履歴が重要です。契約年月日、借金の額、利率、返済状況を明らかにする必要があるからです。債務者が契約書、領収書等をすべて保管していたら特に問題はありません。しかし、現実は一部紛失している場合が多いでしょう。そこで、金融業者が有する取引履歴を開示してもらう必要があるのです。金融業者は法律上、債務者との取引履歴を帳簿に記し保管する義務があります。これを開示してもらい引き直し計算をするのです。最近では引き直し計算ができるインターネットサイトもありますが、正確性を期すには、やはり弁護士に相談したほうがいいといえます。


債務整理って?


債務整理する人にどのようなイメージを持たれますか。多重債務者が厄介になるイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。そして、債務整理なんて私には関係ない、私がそんな無計画なことをするわけない、分不相応な買い物なんかしない、債務整理することなんて私の人生でありえないなんて考えませんでしたか。現実は普通の真面目なサラリーマンでも債務整理することは充分にあり得ます。多くの人たちが20代から40代で家という人生で一番大きな買い物をします。順調に住宅ローンを払えている最中はいいです。

しかし住宅ローンは、人生は概ね予定通りであることを前提に組み立てられています。人生そううまくはいきません。子供が増えた、本人・家族が大病をした、会社を解雇されたなどで家のローンが払えなくなった場合に家に住み続けるためには債務整理する必要性が出てくるのです。家を買わない人でも、株で大損した、借金の連帯保証人になって他人の借金を払わざるを得なくなったなどお金にまつわる苦難に出会う可能性はいくらでもあります。要するにすべての人に債務整理の可能性はあるのです。決して自己管理のできない特殊な人たちだけが債務整理をするわけではないのです。

では債務整理とは何でしょうか。端的に言って借金の見直しの手続です。債権者に折れていただいて、借金の減額をしてもらいます。裁判所が介入するか否かで、任意整理と民事再生・特定調停に分かれます。裁判所が関わらない手続が任意整理です。直接債権者と交渉していきます。他方、民事再生・特定調停は裁判所で行われます。それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらがいいということはできません。ケースバイケースで、債務者と債権者双方により利益がある手続を選んでいきます。そして、最終手段と言えるのが自己破産です。借金を帳消しにします。相応のデメリットも当然にあります。すなわち、債務整理は借金の見直しのための任意整理、民事再生、特定調停、自己破産の手続なのです。